nobu_bob_talk 8 Never Say Good By！の巻

アメリカで考えた自分と音楽について

さてさて、NYを去って日本へ帰ることにしました。NYには約４年９ヶ月間滞在しましたが、これからは古巣である東京を中心に活動するつもりです。 nobu_bob_harp ではアメリカで出会って素晴らしいと感じたものを中心に紹介して来ました。「帰国にあたって」と意気込むほどではありませんが、今回はいつもとは違って、自分のことをちょっと語ってみようと思います。

気が付くと15年以上音楽に関わってきましたが、NYに住んでみても、正直言って、アメリカのブルースは遠い存在だと感じることが良くありました。
例えば、好きなブルースマンであるRobert CrayさんはTV番組のインタビューで、“ブルースはミュージシャンと観客の会話だ。ミュージシャンが日常感じていることを歌うと、観客が反応して盛り上がって行く。それがブルースだ。”と熱く語っていました。でも、実際のステージでは、アドリブで飛び出す歌詞の意味を理解するのはホント難しく、こちらのバンドでハーモニカを吹いても、その場の雰囲気だけでしか演奏できないことがよくありました。お客さんに受けるフレーズを体験的に身に付けたものの、何か大事なものを見落としているように感じていました。
また、例えば、イギリス人であるMike Roweさんが書いた“Chicago Blues：The City and The Music”と言う本に、好きなハーモニカプレーヤーであるSonny Boy Williamson（Ⅰ世）さんの第二次大戦を歌った曲（Win the War Blues）が紹介されているのを読んだ時はショックでした。Sonny Boyさんは、“I want to drop a bomb and set the Japanese city on fire. Now because they are so rotten I just love to see them die. （日本の街に爆弾を落として火に包んでやりたい。とんでもないあいつらが死ぬのをみたいからさ）”っと唄っています。只、ハーモニカのスタイルがカッコいいから、Sonny Boyさんが好きだと言ってしまって良いのだろうか？いったい自分はどれぐらいブルースを理解しているのか？っと思ったりもしました。（時代背景もありますので、現在Sonny Boyさんが生きていれば同様のことは歌わないと思いますが・・・）

好きなブルースに接したくてアメリカに来たものの、ブルースの方が自分を振り向いてくれないと感じてしまう日々もあった訳です。まぁ、勿論、細かいことは気にせず楽しむ方法もありますが、自分自身納得できない面があり嫌でした。場合によっては（いつもじゃありません）、お客さんを誤魔化すことは出来ても、自分には嘘はつけませんネ。

そう思い始めていた頃、Sam Harknessさんのボーカルレッスンに出会いました。Samさんとは、まず、アメリカ人に理解できる英語を歌えるようになるところから出発して、好きなブルースマンの単なるコピーではない自分自身のストーリーを語れるブルース探しと言う、私にとっては壮大な計画を手伝ってもらいました。時としてアメリカには短気な人もいますが、彼は３年以上の間、遅々として進まない私の作業に辛抱強く付き合ってくれ、授業料以上の物を与えてくれたと思います。

Samさんとスタジオにて
歌・ハーモニカ・それ以外の音楽関連のものは全て連動していますから、少しずつそれらが変化して、自分のスタイルを作るキッカケを見つけることができました。どんな場面で演奏しても「あいつのサウンドだ！」っと言ってもらえるミュージシャンになるのが目標です（随分とデカイことを言ってしまった！）。まだまだ、道のりは遠いですが、休むことはあっても、サボること無く続けるつもりです。
アメリカでも、日本でも、どこにいても、自分のブルースは出来ます。売れていても、売れていなくても、輝くミュージシャンはいます。ＮＹでの経験は、当たり前すぎることの再確認でもありました。
今後の予定はこのWebsiteで紹介しますので、機会があれば私の演奏を見に来て「この野郎！」って声を掛けて下さい。自分が感じる音楽の楽しさが少しでも伝わるパフォーマンスをしたいと思っています！！

まだまだ挑戦は続きます！
そして、語り尽くせない幸せを与えてくれる音楽との出会いに、もう一度感謝です。

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