今回は、ハーモニカの演奏方法についての話です。と言っても、セカンドポジション奏法のような専門的なことは、教則本の説明にお任せします。もっと気楽に、サウンドの違いの楽しみ方を紹介したいと思います。
まず、ハーモニカをアンプを通さずに吹くと、こんなようなサウンドになります。
普通のハーモニカのサウンドなんですが、特に戦前のカントリーブルースのハーププレーヤー達は曲芸技のような早吹き・エフェクトで演奏しています。戦前プレーヤー達の魅力も、底無しです。でも、話し出すときりがなくなっちゃうので、別の機会で紹介します。
さてさて、同じフレーズを、戦後に“Little Walter”達が確立したスタイルで演奏すると、こんな風になります。
クオリティの悪いファイルになってますので、どこまで皆さんに細かい違いが伝わるか、ちょっと不安です。昔はマイクの性能も悪くクリアなサウンドの録音も出来なかったのですが、それをギターアンプにつなぐと独特のエフェクトが得られたのです。バンドの演奏がエレキ化する過程で、ハーモニカのボリュームを大きくしようとして、偶然このサウンドが産まれたのかもしれません。
現在では、勿論、器材の性能は格段に向上しましたが、最新式のマイクではクリアに音を拾うので、逆に歪んだサウンドが得られません。いまだに、ハーモニカ用として旧式のマイクが製造されており、不思議な感じがします。アンプも旧式な方が、相性が良いのです。昔のマイクやアンプはハーモニカ用としては製造されていませんでしたが、ブルースマン達は創意工夫で素晴らしいサウンドを作り上げていました。
どのマイクとどのアンプの組み合わせが一番良いかは議論の分れるところです。
他のミュージシャンがどんな器材を使っているか、プレーヤー同志かなり気にしています。アメリカで発行されている“BLUES ACCESS"と言う季刊誌の“dear dr. harpo”では、読者からの投稿を紹介する形で、マイク・アンプ論争が延々と続けられてます。投稿内容は「Little Walterは録音のほとんどをShure 545SDと言うマイクを使ったと主張する何某氏(実名入り)がいるが、そのマイクはWalterの晩年の1964年以降しか製造されていない。そんなことを言う何某氏は信用できん!」みたいな過激な世界です。
器材も大事ですが、楽器そのものが良く鳴っていなければ、良いサウンドは得られない。そんなに熱くなって、議論しなくてもいいんじゃないか? と言うのが最近のボクの持論ではあります(ちょっと、格好付け過ぎだと思ってますが……)。
しかしながら、あまり深入りしたくないと思いつつ、毎回コラムを読んでますネ。
マニアックな世界はともかく、ハーモニカにアンプを通した音があることに気付くと、TV・ラジオで流れる音楽の中のハーモニカサウンドにビビッと反応できると思います。
意外とあちこちで鳴ってるんですよ。
この旧式なサウンドが !!